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営農情報

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水稲

2016.11.01更新

圃場の保全/稲わらの活用/深耕/今年気になった病害虫


1.圃場の保全

 圃場に高低があり土壌が水面より上に出ていると、よく効く除草剤を散布しても雑草が発生します。田植前の代かきの時にもならしますが、その時だけでは土壌を十分に動かせませんので、前回の代かき時に高い位置にあった土壌を低い位置へ動かす耕起作業を冬季の間に行っておきましょう。また、漏水田では除草剤の効果は期待できません。ベントナイトを10a当たり400~700kg投入すると保水力が高まり肥効も良くなって圃場が改善されます。

2.稲わらの活用

 地力を保全し保肥力を維持していくため圃場には有機物が必要です。稲わらは全量、圃場にすき込みましょう。しかし、透水性と排水性が悪い圃場では、稲わらを搬出することで乾きを早め、未分解の稲わらによる「ガスわき」の防止に努めます。
 いもち病は種子や被害わらで越冬して翌年の発生源になるので、いもち病が発生した圃場は収穫後、速やかにすき込むことで圃場で越冬する病害虫を抑制できます。なお、土壌中での分解・腐熟を進めるためには石灰窒素やアグリ革命などの資材を活用しましょう(表)。

表 稲わら分解促進資材

3.深 耕

 できるだけ根が深く張るように、深く耕耘(目標深度15cm)しましよう。ただし、耕土が浅い圃場での急激な深耕は保水力が弱まりますので、2~3年かけて徐々に深く(1年に2~3cmくらい)耕耘しましょう。

4.今年気になった病害虫

○紋枯病

(1)発生形態
 紋枯病(写真1)の第一次伝染源は前年の被害株に形成された菌核や厚膜胞子が土壌中で越冬したもので、その菌核等が代かき時に浮上・浮遊し、田植直後の稲に付着し、温度が22~23℃以上、湿度が96%以上の条件で発芽感染します。さらに、分げつ中後期から幼穂形成伸長期に発病が隣接稲に広がり、発病茎数が増加する水平進展と、出穂期から登熟中・後期にかけて上位葉鞘への垂直進展により病勢が進展していきます。紋枯病菌は、生育適温が30℃前後と高温で多湿条件を好むことから、高温多雨年や過繁茂となった圃場で発生が多く、高温期に登熟を迎える早生品種や短桿・多分げつ品種で被害が著しいことが知られています。
 紋枯病に罹病した株は、葉鞘や葉身が枯死すると共に倒伏しやすくなり、収量と品質の低下を生じます。さらに、紋枯病が白未熟粒の発生を助長していること、外観品質の低下に加えて食味総合値が低くなる傾向も明らかにされています。
 品質・食味低下要因として紋枯病が位置づけられたことから、米の産地間戦争が激化する中で紋枯病の発生動向に注意が必要です。なお、飼料用稲等では多肥栽培が基本となるので、当然ながら紋枯病の発生リスクは高まります。
(2)防除対策
 紋枯病に対する実用的な抵抗性品種が存在しないことから、耕種的および薬剤による防除が対策の中心となります。紋枯病の発生を助長する窒素肥料の多用や偏用と密植栽培(過繁茂)を避けることを基本とし、プラウ耕や代かき時の浮遊残さ除去による菌核量の低減など、耕種的対策も見直すべきでしょう。薬剤防除としては、苗箱処理剤で紋枯病が同時防除できる剤がありますので計画的に対策を行ってください。また、茎葉散布による防除適期は穂ばらみ期から出穂期ですので、圃場内における紋枯病の発生状況を把握したうえで、適切な予防を行ってください。
 ※うまい米栽培ごよみ参照
 紋枯病は、感染好適条件下で爆発的な増加を示す、いもち病とは大きく異なり、じわじわと病勢進展する病害です。このため、要防除水準の策定が極めて有効と考えられ、おおむね穂ばらみ期の発病株率が10~20%以上の時に防除が必要とされています。

○イネ内穎褐変病

(1)発生形態
 イネ内穎褐変病菌(写真2)の感染時期は出穂直後の短期間で、出穂の3~4日後から7日後頃までに発病します。菌は自然界に広く分布し、稲体の各部や畦畔雑草の表面にも常在し、風雨によって穂に運ばれ、籾への侵入部位は下表皮および上表皮の気功で、柔組織の細胞間隙間中で増殖します。また、籾の開花と発病は密接に関連しており、開花中に病原組織が侵入することもありますが、種子伝染の可能性については十分検証されていません。
 イネ内穎褐変病は高温年に発生が多く、夏季の高温は増殖適温が30~35℃と高く、出穂時の降雨が発生を助長します。病徴は籾に限定され他の組織にはほとんど見られません。籾の中でも内穎のみが特異的に褐変し、外穎が褐変することは少ないです。籾内部の組織では鱗皮が褐変していることが多いです。籾の変色は最初はやや薄く部分的に起こりますが、1~2日のうちに内穎全体におよび、褐色から暗褐色になります。褐変は登熟が進むにつれて退色しますが収穫期までは残ります。発病籾から得られる玄米の多くは褐色米、死米、変色米などの品質低下が認められ、完全米は少なくなります。イネ内穎褐変病とイネもみ枯細菌病の初期症状はよく似ていますが、イネもみ枯細菌病による発病籾は、変色し始めて数日後には、内外穎を含む籾全体が淡褐色に変わることで区別ができます。
(2)防除対策
 イネ内穎褐変病は発生生態に不明な点が多く有効な耕種的防除策はありませんが、中肥・穂肥の窒素多用は発生を助長するので、窒素過多にならないように注意して、上位葉の過繁茂を抑えてください。また、発生してからの薬剤散布では効果が低いので、多発生が予想される場合は、穂ばらみ期から穂揃期にいもち病やもみ枯細菌病と同時防除しましょう。

写真1 紋枯病

写真2 イネ内穎褐変病

写真3 外穎と内穎

(吉永支店 金重 博)